ビオトープ 水生植物を上手に育てる | 盆水

2016/10/13 18:35

見た目にも涼やかな水生植物の栽培。メダカやオタマジャクシなど水辺に棲む生き物と一緒に栽培できたり、楽しさの幅も広がります。しかし、普通の植物の栽培とちょっとコツが違うのも事実。ポイントさえ押さえれば容易に栽培できる植物も多いので、ぜひ基本知識を習得して水生植物の栽培に挑戦してみましょう。

Lesson 1 必要になる栽培道具をそろえよう

悩ましく、楽しくもあるのがうつわ選び。置き場所や植える水生植物の種類、完成イメージを考慮して選びましょう


植物が決まったら水鉢を選ぼう

植物を栽培しながらメダカを育てたり、咲いた花にチョウが誘われてやってきたり、水鉢は小さな生き物のオアシスになります。器はオアシス作りに欠かせない大切なアイテムです。栽培したい植物が決まったら次は器を選びましょう。

育てたい植物に適したお気に入り器を探すのは意外と大変です。植物のサイズや性質、葉茎の形、生長具合や色合い、バランスなどさまざまなことを考慮し、置き場所などの要素も考えます。また器の素材によっても作品の印象は大きく異なります。仕上がりのイメージをしっかりと持って器を選ぶように心がけましょう。またメダカなどの生き物を入れる場合は大きめの鉢がおすすめです。サイズにゆとりがある方が干上がる危険も少なく、水質低下や夏場の水温上昇も防げるため安心です。

園芸店などの水鉢コーナーに多く並んでいるものはスイレン鉢です。スイレン鉢は古くからスイレンの観賞用として作られた鉢で円形で40cm〜60cmくらいの比較的大きめのものが多いようです。スイレンにかぎらずさまざまな水生植物で幅広く利用できます。

最近では浅鉢や四角形の鉢など、水鉢の形状にも多彩なバリエーションが増えています。また作品を仕立てる上で必要になってくるのが用土を入れる土入れや、細かい植え込み作業に使うピンセットやはさみ。使いやすいお気に入りの用具を集めると作業が楽しくなります。



Lesson 2 植物の種類で使い分ける用土と肥料

水生植物も水底の土から栄養を得ているのは、一般的な植物と同じです。水はけと栄養を考慮して選びましょう。


田土か赤玉土を基本用土に

園芸店でもまだまだメインストリームではない水生植物。用土も水生植物用として販売されていることは少ないようです。水生植物とはいえ、根から栄養などを摂取するのは普通の植物と同じ。用土選びは栽培の成否を決める重要なポイントです。

大型のガーデニングショップになると「水生植物用」として専用の用土が用意されていることがありますが、まだまだそういうショップは少ないようです。しかし、心配は無用。園芸ショップで一般的に販売されている用土をブレンドして、水生植物に適した用土を作ることができます。

基本となるのは荒木田土と川砂、そして肥料。荒木田土は庭土にも近い土ですが、水を含むと粘り気が出てくるのが特徴。水を加えて練り込み、塊を潰して粘土状にします。荒木田土が手に入らない場合、もっと一般的な赤玉土でもOKです。

この荒木田土に細かめの粒の川砂をまぜます。これは水通りをよくするため。植物が植えやすくなるなどの効果もあります。

肥料は油かすや魚粉、化成肥料などを利用。施肥量は一般的な草花より少なめに。これらをよく混ぜ込めばビオトープ用土の出来上がり。

混ぜ込む肥料は春の植え替え時などには長く効くタイプの元肥と、植物が生長した時に追加すべき追肥のふた通りがあります。元肥は緩効性のもの。追肥は比較的即効性のものを加えるといいでしょう。

 

Lesson 3 植物にとってとても大切な光と水

植物の多くは根から水分を得て光を浴びて光合成をおこないます。水生植物もそれは同じです。


光の量の加減と水生植物ならではの水量

多くの植物と同様に、水生植物にも光と水が必要です。

光に関しては他の植物とさほど変わりませんが、水性植物だけに水に関しては、大きく性質が異なります。

光は光合成のために必要です。葉に含まれる葉緑素が、太陽からの光と根から吸収した養分を植物のエネルギーへと変換します。地上にはさまざまな環境に適応した植物が存在しており、それぞれどのぐらいの光を好むのかが異なります。植物によっては、強い光を好むものもあれば、明るい日陰(半日陰)ていどの明るさのところを好む植物もあります。水生植物においてもそれは同様で、状態良く育成するためには、その植物が好む日当たりを再現してやる必要があります。


次に水ですが、これも植物の生命活動に必要不可欠。サボテンなどの砂漠の植物のように少量の水を効率良く使うために進化した植物もありますが、水生植物は絶えず水に浸かっているもしくは多湿の状況にある種類が多いものです。十分に水分が行き渡ると光合成も活発になり、肥料などの吸収、循環なども活発になります。

この光と、水、そして土や温度などの環境を、育成したい植物が好む環境にいかに近づけるかが、うまく植物を育てるために重要です。

ビオトープの場合は、特に水の供給が重要なポイントになります。浮遊植物や沈水植物、浮葉植物の場合はほぼ常にたっぷりとした水が必要です。逆に言えば根腐れなどの心配はありません。余裕のある大きなサイズの容器や鉢に植え込み、水をしっかり張って水切れが起こらないようにしましょう。水深も重要で、深いと水量は豊富ですが根元まで光が届かない場合もあり、浅いと水切れの危険があると同時に雨で用土が流れだす危険があります。

抽水植物や湿生植物の場合も水辺の植物は全般にふんだんに水を必要とします。水切れしないように注意しましょう。



植物だけを育てる場合は通常の水道水だけで大丈夫ですが、メダカやオタマジャクシなどの生物を飼育する場合は、置き水するなどして、消毒のために水道水に含まれる塩素を飛ばしたり温度を合わせたりする必要があります。急ぐ場合には、熱帯魚飼育などで使われる塩素中和剤が便利です。メダカを導入する場合には袋ごと水に浮かべたりして、水質や水温に慣らす「水合わせ」をして導入すると安心です。

 

Lesson 4 見栄えをよくする植物の植えつけかた

ぽっとで買ってきた植物をどうやって鉢にレイアウトするか?水深があるのが普通の園芸との違い。


植物によって異なる水深をどうやって演出する?

通常、園芸ショップで買ってきた植物は、ポリ製のポットなどに植えられていることが多いものです。多くの場合ポットの中で根が回っていたりして、このまま植えてしまうと花つきが悪くなったりしてしまいます。だから、ひと回り大きな鉢や器に植え替えるのが一般的ですが、これは水性植物も同じです。

買ってきたらまずポットから植物を取り出し、根にもとの土がついた状態で新しく植える鉢に移し、根が覆われるまで用土を追加します。

ただし、株分けなど根を切って植える場合は、時間を間違えると植物が弱ってしまうので注意が必要です。植え替えを行う場合は植物の活動が活発になる生長期の前にするのが一般的です。生長期は栄養分が消費される時期なので、株の耐性が低いのです。耐性が低いと環境変化に耐えられず枯れてしまうこともあります。活動の低い時期なら株の耐性が高いので、古く伸びた根を切っても、生長期に入ればすぐに回復します。

寄せ植えとして鉢に複数の植物を植える場合には、いろいろとコツがあります。前景、中景、後景に分けること、うまく高低差をつけることなどは通常の寄せ植えと同じですが、水生植物の場合は、それぞれ種類によって好む水深が違う場合があります。同じ鉢に望ましい水深が違う植物を植える場合には、逆さまにした鉢を下に置いて台にするなど、ゲタをかませて水深を調整してやるとよいでしょう。

 

Lesson 5 美しく元気に育てるための日常管理

基本的に丈夫で育てやすい植物ですが、より美しく育てるためには、日常的な細かいケアも必要です。


こまめな足し水と花が咲いたあとの処理

水生植物の手入れは、他の草花や花木とは異なり、頻繁な作業を必要としません。比較的丈夫な植物が多いので、初心者でも気軽に栽培することが出来ます。とはいえ、植物の状態をこまめに確認することは大切。調子を崩しているようなら対処するようにしましょう。

まずは足し水。水鉢やスイレン鉢に入れた水は植物に吸収され、また水面からも蒸発していきます。とくに夏場は気温が高くなるので、蒸発量が増え、なおかつ植物も急速に成長するので、水分をたくさん必要とします。鉢の水位は常に気にしておきましょう。水が減っているようなら足し水をします。ただし、冷たい水をいきなり注ぐのではなく、できるだけ鉢内の水温に近いものを補給するようにしましょう。また、メダカを飼っている場合は、前にも述べましたが、水道水をバケツなどに入れ、しばらく陽に当てて塩素を抜いてから足し水します。市販の中和剤を利用してもよいでしょう。

こまめに足し水をしていれば急激に水質が悪化することはないので、鉢内の水を全部入れ替えることはありません。しかし植物の状態が崩れると、水が腐ったり、濁ってしまうことがります。そのような場合には水換えを行ないます。ホースなどを利用して鉢に新しい水を少量ずつ注ぎ、鉢から水を溢れさせるようにして水を変えます。メダカなどがいる場合は、網ですくって別容器に移しておくと安心です。

このほか、枯れ葉のカットや花がら摘みも大切な作業です。植物が生長すると、葉が繁茂して重なりあってきます。それによって日が当たらなくなった葉が枯れたり、溶け出したりします。枯れ葉や茎は見つけ次第、はさみでカットします。また、水生植物は生長が早いものが多いので、器に対して株が増えすぎることがあります。株元から間引くように剪定して風通しをよくしておくとよいでしょう。

花が咲き終わったら、花がら摘みを行ないます。花がらをそのままにしておくと見栄えがよくないばかりか、タネを作るための養分がそちらにまわり、株が充実しない種類もあります。スイレンの場合、花が終わったら、株元の茎からカットするようにします。

 

Lesson 6 夏の暑さ対策と冬越しの方法

四季折々にさまざまな表情を見せる植物たち。季節の管理はとくに夏と冬がポイント。暑さと寒さを乗り切る工夫を考えましょう。


季節の管理は植物の身になって

水辺の植物も、他の草花と同様、季節によって姿を変え、その環境に対応しようとします。多くは春から夏に成長して花を咲かせ、秋に葉が枯れ、冬には冬眠して成長を止めます。それぞれの季節で植物の状態を見極め、植物の立場になって栽培することが大切です。

春は生長を始める季節。室内に取り込んでいた植物は外に出して、よく日の当たる場所で管理します。またこの頃に追肥を施しておくとよいでしょう。鉢の縁に緩効性肥料を適量埋め込みます。

植物が急速に成長する夏場は、栄養分や水分や多く必要とする季節。この時期、直射日光が当たる鉢内の水温は想像以上に高くなってしまいます。暑い夏を乗り切る工夫を考えましょう。とくに小さめの器で栽培している場合は注意が必要です。器が小さくなればなるほど水温変化は激しく、日中の水温が高くなってしまいます。そこで大きなスイレン鉢などに水を張り、器ごと沈めると急激な水温上昇を防ぐことが出来ます。また、水鉢の底にレンガを置いて、底上げすると上昇をある程度抑えることができます。西日が直接当たるベランダなどでは、ヨシズやスダレなどを使って日除けをするとよいでしょう。

さらに夏は蚊の幼虫のボウフラや汚いコケも繁殖しやすくなります。コケやボウフラを退治するには、水中にメダカを泳がせておくと効果的。ボウフラやある程度のコケを食べて、その発生を抑制してくれます。

秋から冬にかけての管理では、また別の管理が必要です。植物の生長が一段落する秋には枯れていく葉を取り除き、翌年の生長に備えます。冬は生長が完全にストップする季節ですが、植物が休眠していても水を切らさないように管理しなければなりません。光はあまり必要としないので、室内に取り込んでもよいでしょう。ただし、熱帯性スイレンなど、日本の寒い冬が苦手な種類は、必ず室内に取り入れて保温しなければなりません。この際も水は絶対に切らさないように注意しましょう。

メダカを飼育している場合、氷が張らない地域ではそのまま外で管理しておいても問題ありません。